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岩見沢簡易裁判所 昭和32年(ハ)149号 判決 1957年12月02日

原告

右代表者法務大臣

唐沢俊樹

札幌市南一条西二七丁目札幌法務局内

右指定代理人法務事務官

千葉正道

同市北大通西七丁目札幌国税局内

大蔵事務官 阿部島康夫

美唄市大通北四丁目

被告

但野正一

右訴訟代理人

但野義一

右当事者間の昭和三十二年(ハ)第一四九号工事請負代金請求事件について当裁判所は左のとおり判決する。

主文

被告は原告に対し金四万三千七十八円を支払え。

訴訟費用は被告の負担とする。

事実及び理由

原告指定代理人等は主文同旨の判決を求め、その請求原因として、

(一)  原告は土木建築請負を業とする訴外株式会社初島組に対し

(イ)  昭和三十年四月十一日を納期とする昭和二十九年度源泉所得税の利子税額金九百六十円

(ロ)  同年六月四日を納期とする昭和三十年度の同上利子税額金四百二十円

(ハ)  同三十一年五月十日を納期とする同三十一年度源泉所得税額金六万四百二十八円、同源泉徴収加算税額金一万二千二百五十円、同滞納処分費九十円

以上計金七万四千百四十八円の租税債権を有していた。

(二)  右訴外会社は、被告から、昭和三十一年十月十四日美唄市峰樺道路中小屋地内の暗渠排水事業掘鑿埋設工事を、代金百二十五万円工期同年十月十五日から同年十一月三十日まで、代金支払は工事完成検査合格後請負人が支払の請求をした日より四十日以内に支払う契約にて請負つた。

(三)  原告は前記(一)の租税債権及び昭和三十一年度源泉所得税に対する利子税金五千四百八十円、延滞加算税金二千四百五十円合計金八万二千七十八円の徴収のため昭和三十一年十一月二十一日国税徴収法第二十三条の一の規定にもとずいて前記(二)の請負代金債権のうち同額の部分を差押え同日被告に対し、差押通知書を送達し、右租税債権の限度で訴外会社に代位して被告から取立てる権利を取得した。

(四)  前記(二)の工事は昭和三十二年五月二十八日完成検査を経た上、被告にその引渡を了し同年六月二十日に代金請求をしているからその後四十日以内に請負代金は支払わるべきものである。

(五)  被告は昭和三十二年七月二十六日内金三万九千円を支払つたのみであるから残金四万三千七十八円の支払を求めるため本訴請求をする。

と陳述し、立証として甲第一号証を提出した。

被告訴訟代理人は、原告の請求棄却の判決を求め、答弁として原告主張の事実中、請負工事完成引渡の事実を否認しその余はこれを認めると述べ、甲第一号証の成立を認めた。

成立に争のない甲第一号証によると原告主張の工事完成引渡の事実を推認することができる。

よつて原告の本訴請求はこれを正当として認容し訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八十九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 小林留吉)

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